「毎月の予実管理に丸2日かかる」「Excelの数式が崩れて数字が合わない」——こうした悩みはありませんか?
本記事では、ERP導入によって予実管理の業務がどう変わるのかを、予算編成から着地見込みの更新まで実践的に解説します。Excelの限界を感じている方にも、ERPと予実管理システムのどちらを選ぶべきか迷っている方にも役立つ内容です。
予実管理の基礎知識についてはこちらの記事をご覧ください。
予実管理のプロセスで見る、Excel運用とERP運用の違い(比較表)
予実管理は「予算編成」「実績集計」「差異分析」「着地見込みの更新」という4つの工程で成り立っています。それぞれの工程ごとにExcel運用とERP運用を比較表で確認しましょう。
| 工程 | Excel運用 | ERP運用 |
|---|---|---|
| 予算編成 | シートを配布し部門ごとに入力 | 予算データを一元管理・集計 |
| 実績集計 | 会計・販売データを手動で転記 | 各部門のデータを自動集計 |
| 差異分析 | 月次でまとめて確認 | 日次・週次で進捗確認 |
| 着地見込みの更新 | 都度シートを作り直す | 承認フローで随時更新 |
工程ごとの差を理解することで、自社にどの部分の改善が必要か見えてきます。各工程の詳細説明はこちらの章をごらんください。
予実管理とは?管理会計における位置づけ
予実管理とは、企業が設定した予算と実際の業績(実績)を比較し、差異の原因を分析して対策を講じる一連のプロセスを指します。たとえるなら、ダイエットで立てた目標体重と、実際の体重を毎週測って比較するようなものです。ズレがあれば早めに食事や運動量を見直せます。
売上予算、原価予算、経費予算など、企業活動のあらゆる数字がこの比較の対象になります。
予実管理が経営判断のスピードを左右する理由
予実管理を行わないと、経営目標を達成できるかどうかが決算までわからないという状態に陥ります。
月次や週次で予算と実績の差異を確認していれば、期の途中でも軌道修正が可能です。逆に確認が遅れるほど、打てる対策の選択肢は少なくなります。
予実管理を構成する4つの業務プロセスとそれぞれの課題
予実管理は複数の工程が連続して初めて機能します。それぞれの工程には、固有のつまずきポイントが存在します。
ここでは4つの工程に分けて課題を整理します。
1.予算編成|勘定科目・部門別に目標値を設定する
予算編成では、勘定科目や事業部門ごとに月別の目標金額を設定します。全社目標を部門単位へ落とし込む工程であり、ここでの精度が後の分析全体の土台になります。
Excelでは部門ごとにシートを配布し、回収・統合する作業に時間がかかりがちです。フォーマットが部門ごとに微妙に異なると、統合時の手直しにさらに手間がかかります。
2.実績集計|会計・販売などのデータを取り込む
実績集計では、会計システムや販売管理システムなどから実際の数字を集めます。転記や抽出の都度、チェックや修正作業が発生するため、担当者の負担が積み重なりやすい工程です。
3.差異分析|予算と実績のズレの原因を特定する
差異分析は、予算と実績の乖離がなぜ発生したのかを特定する工程です。一時的な要因なのか、継続的な問題なのかを見極めることが重要です。分析結果は、経営戦略の修正や次月以降の予算見直しに直結します。ただし差異の深掘りに時間をかけすぎると、肝心の改善策の検討が後回しになるので注意が必要です。
4.着地見込みの更新|残り期間の着地予測を継続的に見直す
着地見込みの更新とは、期末までの残り期間の業績を予測し直す作業です。蓄積されたデータが増えるほど、季節変動や差異の傾向も見えやすくなり、予測の根拠が強固になります。
なぜExcelでは予実管理のPDCAが回らないのか
前章で見た4つの工程は、Excelでも実行できます。しかしスピーディーに回し続けることが難しいのがExcel運用の実情です。
集計・転記に時間がかかり、差異分析が「後追い」になる
Excelでの実績集計では、外部システムからデータを取り出し、シートへ転記する必要があります。この前処理に工数が集中し、本来もっとも重要な差異分析に充てる時間が削られてしまいます。
締切間際の作業では十分な分析ができず、原因特定が翌月へ繰り越されるケースも珍しくありません。
部門ごとにバラバラなフォーマットで全社集計に手間がかかる
予実管理表のフォーマットは、部門や拠点ごとにバラつきが発生しやすい傾向にあります。フォーマットが統一されていないと、全社の数字を一つにまとめる作業自体が大きな負担になります。
ファイルの送受信や版管理も煩雑になり、どのデータが最新かを判断するだけでも時間がかかってしまいます。
ERP化で予実管理のPDCAはどう速まる?
前章の課題は、ERPによる業務プロセスの標準化・仕組み化で解決を図れます。ここではERPが予実管理のPDCAを速める機能を紹介します。
予算データの一元管理で編成から集計までを自動化
ERPでは、勘定科目・部門・案件といった軸ごとに予算データを一元管理します。
一度登録した予算が実績データと自動的に紐づくため、部門やシートを横断して個別に予算を入力し直す手間がなくなります。予算編成にかかる時間そのものを短縮できる点が大きな特徴です。
日次・週次で予実差異をリアルタイムに確認
ERPでは、売上や原価などのデータが自動的に集計されるため、予算と実績の差異を日次・週次といった短いサイクルでタイムリーに確認できるようになります。
未達が見つかった時点ですぐに原因分析へ移れるため、月次の後追いだったExcel運用と比べて対応の速さが大きく変わります。
承認ワークフローでデータの信頼性をアップ
ERPには、予算の修正や着地見込みの更新を回すための承認ワークフロー機能が備わっています。部門横断での入力と承認が標準化されるため、更新プロセスの透明性が高まります。誰がいつ承認したかが記録として残るため、内部統制の観点でも安心です。
「ERP」と「予実管理特化型システム」どちらを選ぶべきか
予実管理をシステム化する手段は、ERPだけではありません。予実管理に特化したシステムという選択肢もあり、自社の状況に合わせて使い分けることが重要です。
機能範囲の違い|全社統合基盤か、予実管理に特化した専門機能か
ERPは基幹業務全体をカバーするシステムです。一方、予実管理特化型システムは、予算と実績の比較・分析やレポーティングなど、予実管理業務そのものの機能を深く備えている点が特徴です。
機能範囲の広さを取るか、専門性の高さを取るかが選択の分かれ目になります。
ERPが向いている企業の特徴
会計だけでなく複数部門のデータ連携が必要な企業には、ERPが向いています。
基幹業務全体をひとつのシステムで完結させたい場合や、部門間のデータ分断そのものを解消したい企業に適した選択肢です。
予実管理特化型システムが向いている企業の特徴
会計や販売のシステムはすでに整備されており、予実管理の部分だけに課題を抱えている企業には、特化型システムが向いています。
既存システムを大きく入れ替えずに、比較・分析やレポーティングの機能だけを強化できる点がメリットです。導入のスコープを絞れるため、比較的短期間で運用を開始しやすい傾向もあります。
既存の会計・販売システムと連携させるという選択肢
すでに会計システムを導入している企業であれば、予実管理特化型システムを既存システムと連携させ、必要な部分だけを補うという進め方も可能です。ERPへの全面移行と比べて投資額を抑えられるため、段階的にシステム化を進めたい企業に向いています。
【診断】自社に合う予実管理の進め方チェックリスト
ここまでの内容を踏まえて、自社が今どの段階にいるのかをチェックリストで確認してみましょう。当てはまる項目が多いほど、その進め方が自社に合っている可能性が高いといえます。
まだExcelで対応できる企業の特徴
• 部門数が少なく、予算項目もシンプルである
• 月次の集計に半日〜1日程度で対応できている
•
担当者が変わっても引き継ぎに大きな支障がない
これらに当てはまる場合、無理にシステム化を急ぐ必要はありません。ただし部門や拠点が増える予定がある場合は、早めの検討をおすすめします。
予実管理システム単体の導入を検討すべき企業の特徴
• 会計・販売システムは整備済みだが、予実管理だけExcelに頼っている
• 差異分析やレポート作成に時間がかかりすぎている
•
経営層への報告資料作成が属人化している
既存システムを活かしながら予実管理だけを強化したい企業に向いた選択です。
ERPによる統合管理を検討すべき企業の特徴
• 会計・販売・勤怠など社内のデータが部門ごとに分断されている
• 同じ数字を複数のシステムに二重入力している
•
内部統制や証跡管理に不安がある
複数の課題が全社的に広がっている場合は、ERPによる統合管理が根本的な解決につながります。
予実管理におすすめのクラウドERP「MA-EYES」
ERPによる統合管理が自社に合いそうだと感じた方に向けて、プロジェクト型ビジネスの予実管理に強みを持つクラウドERP「MA-EYES(エムエーアイズ)」を紹介します。
引合から受注、入金・支払までデータがつながる「一元管理」
営業段階の見込み(引合)の時点から売上や原価の予測情報を入力できます。受注後は、その見積や見込み情報をそのままプロジェクトの「実行予算」として引き継ぐことが可能です。
これにより、営業段階の予定値(予算)から、受注後の実行予算、そして実際の売上・経費・支払実績にいたるまで、同じデータベース上でズレなく紐付けて予実対比を行えます。
月次締め前に赤字リスクを早期発見できる「アラート機能」
MA-EYESでは、プロジェクトごとに売上予定金額・原価(人件費・外注費・経費)といった予算をあらかじめ設定し、粗利率を自動計算できます。設定した予算は請求予定とも連動するため、案件が進行するにつれて実際の売上・原価が反映され、予算と実績の差異をリアルタイムに把握できます。着地予測の精度向上や、赤字プロジェクトの早期発見につながります。
さらに、「プロジェクト収益性アラート機能」で粗利率が設定した基準を外れた場合に自動で通知が飛ぶため、異常をいち早く察知することも可能です。
グラフィカルに確認できる分析帳票が豊富
MA-EYESには分析帳票が多数用意されています。ノーコードで自社に合わせて作成可能で、専門的な開発知識は不要です。経営層から現場担当者まで同じ情報を共有できるため、意思決定のスピードと精度が同時に高まります。
代表的な分析機能は以下です。
経営ダッシュボード
汎用分析
プロジェクト収益性
Excelに限界を感じたら
プロジェクト管理特化のクラウドERP「MA-EYES」資料ダウンロード
- 参考料金
- 自由度の高さ
- プロジェクト管理
予実管理に関するよくある質問
予実管理システムとERPは何が違いますか?
ERPは基幹業務全体を統合管理するシステムであり、予実管理はその一機能にあたります。
一方、予実管理システムは予算と実績の比較・分析に特化した専門システムです。全社的なデータ統合を目指すならERP、予実管理の部分だけを強化したいなら特化型システムが向いています。
予実管理はどのくらいの頻度で行うべきですか?
月次だけでなく、可能であれば週次で予算と実績を確認することが望ましいとされています。
確認の頻度が高いほど、問題の早期発見と迅速な軌道修正につながります。一回あたりの作業に時間をかけすぎるより、短いサイクルで小まめに確認するほうが経営改善への効果は高くなります。
Excelの予実管理表テンプレートは使い続けても大丈夫ですか?
部門数が少なく、集計に時間がかかっていない段階であれば、Excelテンプレートの継続利用でも問題ありません。
ただし部門や拠点が増え、転記・集計作業に時間がかかり始めたタイミングは、システム化を検討する一つの目安になります。テンプレートの型自体はERP導入後も予算編成の考え方として活用できるため、無駄にはなりません。
まとめ
予実管理は、予算編成・実績集計・差異分析・着地見込みの更新という4つの工程が連続して初めて機能します。Excel運用ではこの一連の流れを速く回し続けることが難しく、事業が成長するほど限界が顕在化します。ERPを導入すれば、データの一元管理やアラート機能、承認ワークフロー、ダッシュボードによって、予実管理のPDCAそのものを速めることが可能です。まずは自社がどの工程でつまずいているのかを整理し、Excelのままでいくべきか、予実管理特化型システムか、あるいはERPによる統合管理かを見極めることから始めてみてはいかがでしょうか。
記載の社名・製品名・サービス名は、各社の商標または登録商標です。




