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コラム「企業経営よもやま話」

工事進行基準とは

ここでは、工事進行基準についてご説明します。

工事進行基準とは、長期請負工事の収益計上における工事契約に係る認識基準の1つです。この基準における工事契約とは以下を指します。

・工事契約…仕事の完成に対して対価が支払われる請負契約のうち、土木、建築、造船や一定の機械装置の製造等、さらに受注制作のソフトウェアについて、基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行うもの

これまで、これらの請負契約に関する収益計上については、以下2種類のいずれかを選択適用することが認められてきました。

[企業会計基準15号 工事契約に関する会計基準より抜粋]

・工事完成基準…工事が完成し、成果物の引渡しが完了した日に工事収益及び工事原価を認識する方法

・工事進行基準…工事の完成・引渡しより前の時点においても、決算期末に工事進行程度を見積り、適正な工事収益率によって合理的な収益を見積もって工事収益を認識する方法

受注制作のソフトウェアにおいては、日本では一部企業を除く大多数の企業が工事完成基準を採用していました。しかし企業間の比較可能性および世界の会計基準の統一化への動きから、企業会計基準委員会が「工事契約に関する会計基準」により、2009年4月1日以降に開始となる事業年度から工事進行基準が原則として適用となることを定めました。

今後は、工事契約に基づく工事の進捗に応じて、成果の確実性が認められるような場合には工事進行基準を適用し、この要件に当てはまらない場合には工事完成基準が適用となります。

成果の確実性が認められるための要件は「工事収益総額」「工事原価総額」「決算日における進捗度」の3つが信頼性をもって見積もれることとなります。進捗度を表す方法としては「工事契約に関する会計基準」にて「原価比例法」を例示していますが、それ以外の方法の適用も認められています。しかし、受注制作のソフトウェアにおいては受注時点で仕様が未確定であったり、プロジェクトの進行中に仕様変更が起こるといった商習慣から、信頼性をもって工事原価総額を見積もるためには、原価の発生やその見積もりに対するより高度な管理が必要と考えられています。

さらに2008年度は内部統制の適用初年度となります。工事進行基準を適用し、成果の確実性が認められ、信頼性をもった見積もりに対応するための基盤として、内部統制対応を整備することで対応していくことは重要だと考えられます。

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